大きな国と、すこし小さな国が隣り合っていましたが、二つの国の間には何ごとも起こらず平和でした。
都から遠い国境には両方の国からただ一人ずつ兵隊が派遣されてました。
大きな国から老兵士と小さな国からは若い兵士で、二人は敵味方ですが他に話す相手もなく、いつしか仲良くなっていろんな話しをしながら退屈な一日をのんびり過ごしてました。
ところが、やがて二つの国はなにかの利益問題から戦争が始まって二人は敵どうしになりました。
老人は青年に自分の首を持って行けば手柄を立てられるといいましたが青年はそれはできないと遠くの戦場に向かいました。
国境には老人が一人だけ残され青年の身の上を案じながら呆然と寂しい日々を過ごしてました。
そんなある日、旅人が通ったので老人は戦争がどうなったか聞いてみました。すると旅人は、小さな国が負けて兵士は皆殺しになって戦争は終わったことを告げました。
春には咲いてた野バラがそれからすっかり枯れてました。その年の秋、老人は暇をもらって南の方に帰りました。
小川未明さんの「野ばら」です。
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