暑い暑いと毎日言ってますが、気分だけでも涼しくと思って黒部峡谷に思いをはせました。
北陸富山の宇奈月温泉から欅平まではトロッコ電車で渓谷をいくつもの鉄橋やトンネルを通って行くと夏でも涼しいところです。
吉村昭さんの「高熱隧道」ですがタイトルからして熱そうでしたが案の定というか想像以上でした。
昭和11年に着工した黒部第三発電所は電力を確保するための国策事業でした。険しい山々と急流で資材を運ぶ途中に転落死したりダイナマイトに巻き込まれて爆死する人も出ました。
一番の問題は火山地帯のためトンネルを掘り進めると地熱が徐々に上がって最終的には160度くらいになったそうです。
作業員達は体に水を掛けながら短時間で交代して、それでも火傷で亡くなる人、又豪雪地で宿舎ごと雪崩に巻き込まれて一度に何十人もの作業員が亡くなっていきます。
犠牲者があまりにも多いので富山県警が工事の中止命令を出しますが国策事業ということで工事は続行され、昭和15年に完工しますが犠牲者は300名を越えたといいます。
日本が戦争に向かう中、国家権力による人命を軽視した無謀な工事だったと思います。
トロッコ電車からの美しい紅葉と渓谷を思い出しながら、上流でこんな悲惨な出来事があったとは露知らず、涼しくなるつもりが逆に熱くなる熱帯夜でした。
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